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脊柱管狭窄症の痛みを抑える薬としては、「リリカ」や「オパルモン」が有名です。
神経の痛みをやわらげる・血管を広げる効果により、症状を改善するものとして、多くの病院で処方されています。
しかし、読売新聞の過去記事で、リリカを服用したことにより、一部の患者さんが肝機能障害・劇症肝炎を発症したことが話題になりました。
おそらく、ご存じの方は多いと思います。
詳細を確認すると、2010年6月に販売が開始されてから、記事が書かれた時点で200万人近い患者さんに利用されており、症状が出たのはその中のたった11人という結果です。
1%にも満たない数値のため、多くの人にとっては気にする必要はないのかもしれません。
しかし、あなたがその中の1人にならない、という保証は、残念ながらどこにもありません。
薬を使う以上、何らかの副作用というリスクを想定しなければならず、できれば飲みたくないと潜在的に考えている人は多いものと推察されます。
そこで今回は、一般的に脊柱管狭窄症で用いられる薬の種類やその効果を説明した上で、薬に頼らず症状を改善したいと考える人に対し、当院で何ができるのかをお伝えします。
脊柱管狭窄症に使われる薬には、具体的にどのようなものがある?
まずは、脊柱管狭窄症の薬物療法において、どのような薬が使われているのか、主な種類をまとめてみました。
ここでご紹介するものは、基本的に医師の処方がなければ服用できないため、独自の判断で服用することはすすめておりませんので、その点については誤解のないようお願い致します。
鎮痛剤
鎮痛剤とは、何らかの理由で生じている痛みをおさえるための薬です。
脊柱管狭窄症に使われるものとしては、非ステロイド性抗消炎鎮痛薬(商品名:ロキソニン・ボルタレンなど)・CO-X2選択的阻害薬(商品名:ハイペン・モービックなど)が挙げられます。
副作用として考えられるのは、深刻なものであれば、胃潰瘍や腎機能障害に発展する場合もあるため、用法・用量を正しく守ることが大切です。
特に、ロキソニンなどは、脊柱管狭窄症にかかわらず、痛みが生じたときに都度飲んでいる人も少なくなく、用法・用量を逸脱しているケースを見かけます。
過去に飲んでいた人が、飲まなくなった薬を取っておいて、それを家族・友達に渡すといったケースもあることから、濫用は控えるようにしたいものです。
筋弛緩薬
筋弛緩薬とは、痛みのために筋肉が収縮し、こった状態に対して筋肉の緊張を和らげることにより、痛みを軽減するための薬です。
商品名としては、ミオナール・テルネリンなどが有名です。
副作用として知られているのは、ふらつきや眠気・胃の不快感などです。
循環障害改善薬
循環障害改善薬は、血管を広げ赤血球の変形能を改善し、血液を固まりにくくする作用が期待できるとされます。
圧迫による神経の循環障害に基づく疼痛、冷感、しびれ感、潰瘍などを改善するために処方される例が多いようです。
商品名として有名なのは、プロレナール・オパルモンで、副作用としては腹部不快感・出血しやすくなるなどの症状が挙げられます。
ビタミンB12
神経組織を障害から回復させるため、ビタミンB12が処方されることもあります。
しびれの自覚症状の改善に有効とされ、体内では葉酸とタッグを組み、赤血球中のヘモグロビン生成を助ける機能も持ちます。
食事から摂取する場合、かきなどの魚介類・レバーに多く含まれます。
動物性食品に多く含まれるため、菜食主義者の方は栄養が不足する場合もあります。
抗不安薬
抗不安薬は、不安・緊張・イライラを和らげ、心身をリラックスさせる目的で処方されることが多いようです。
副作用としては、眠気・ふらつき・脱力感などが挙げられます。
リリカ
ちなみに、リリカは「疼痛治療剤」に分類され、主に「神経の痛み」に対して用いられます。
痛みの信号を抑え、疼痛を和らげる効果があるとされ、脊柱管狭窄症だけでなく線維筋痛症の痛みにも処方されることがあります。
また、人間の身体に本来備わっている「身体に危険を伝える痛み」には、影響を及ぼさないものとされます。
先にお伝えした通り、重篤な副作用が生じるケースも、データを見る限りはごく少数のようです。
薬は、根本的解決にはつながらない
身体から痛みを取り払うために、人間は多数の薬を開発・服用していることが分かりました。
それは同時に、薬に依存し続けるリスクがあることも示しており、根本的解決につながっていない可能性は否定できません。
痛みを止めるというアプローチではなく、どこに痛みの原因があるのかを知らなければ、人間はいつまでも同じ習慣を繰り返します。
以下に、薬に対する当院の考え方をご紹介します。
どこに原因があるのかを見ていない
自分の身体にどのような問題があるのかは、一目見て言い当てるのは、一部の専門家を覗いて難しいものです。
当院でも、綿密にカウンセリングを行い、できるだけバイアスを取り除いてから施術にかかります。
にもかかわらず、自分の判断で痛みの原因から目をそむけ、痛み止めを飲むだけの生活をしていると、確実に症状は悪化しているのに、いつの間にか自分で気付けなくなってしまいます。
やがて、薬でもどうしようもない状態になると、いよいよ身体を動かすことがおっくうになります。
これが一番危険なことで、身体を動かさなければ、普段動かしている部分の症状は改善しにくくなります。
痛みを取り除くことよりも、普段の身体の使い方を工夫し、痛みを生まない習慣を構築することが大事なのです。
薬は「不自然」なものであることを理解する
薬は、神経や血流などに成分が作用することで、痛みを緩和するアプローチを取ります。
つまり、痛みは緩和されていても、薬を止めれば再び状況は悪くなるため、ある意味では不自然な作用を身体に与えています。
血圧を下げる降圧剤が、使い続けると長い付き合いになってしまうように、薬には麻薬とは違う意味での依存性があります。
人によっては厳しいかもしれませんが、できるだけ薬に頼らない生活をすることが、その不自然さを解消する第一歩となります。
薬を服用する場合、いつ止められるのか・止める方法はないのかを、常に頭の片隅に入れて考えることが大切です。
精神的な問題が、間接的に関係していることもある
医師や整体従事者の指導の中には、時に人間の身体の本質を無視したアドバイスをするケースがあります。
代表的なものが「歩いてはいけない」という指導です。
これは、もちろん急性の炎症が起こっている場合は正しい判断なのですが、別に「いつまでも」歩いてはいけないわけではありません。
むしろ、その気持ちを引きずったまま暮らしていると、いずれ精神的に追い詰められ、様々な行動がおっくうになってしまいます。
指導を受けた際には、患者さんの立場として必ず「いつまでそうするのか」を確認するクセをつけておきたいところです。
漢方という選択肢はどうか?
薬、というジャンルで考えた際に、漢方薬をイメージする人もいるでしょう。
当院が整体院という立場のため、あくまでも一般論に落ち着きますが、症状の緩和につながった例があることは確かです。
漢方は、自然由来の成分を活用し、体内の水分・血流をコントロールするというアプローチを取っています。
体温の保持・排尿の円滑化など、内臓の働きも含めて身体全体の改善を試みる点では、整体と相性が悪いわけではありません。
ただ、整体が身体全体を物理的な面(筋肉・関節などの動き)で診て施術に入るのに対し、漢方は痛みやだるさなどの自覚症状が出た場合に用いることから、本質的には違います。
原因を身体の動きから見定めていないため、病状によっては改善する場合もあれば、あまり効果が芳しくないケースもあると言わざるを得ません。
やっぱり、身体全体を見た施術が必要
内臓系の疾患により痛みが生じている場合を除いては、基本的に身体全体を見た施術を行うことが大切です。
当院で施術にあたる場合、正しい原因を「患者さんの身体」に聞いていくような流れで施術にあたります。
自分のことは自分に聞く
突然ですが、あなたは「5年以上前の行動」を、逐一覚えているものでしょうか。
おそらく、大きなことは覚えていても、細かいところは記憶から飛んでいる、というケースがほとんどだと思います。
しかし、身体はしっかり覚えています。
脳で覚えていなくても、身体は毎日の行動を支えるために、常に変化を続けているからです。
身体がひずんでいる場合、それは自分の身体の使い方・扱い方に原因があります。
大きなケガをした状況などは覚えていると思いますが、普段の身体のクセや行動の傾向などは、なかなか自覚しにくいものです。
当院でカウンセリングにあたる場合、「自分の身体のことは自分に聞く」というスタンスですから、複数の要素を紐解きながら、最善の方法を模索していきます。
身体の「取扱説明書」を知る
身体には、きちんと取扱説明書があります。
腕を曲げる方向・足を曲げる方向が決まっているように、してはいけない動きというものも存在します。
それを踏まえ、できるだけ早く歩けるように、関節に潤いを与えるように施術していきます。
実際に歩かなければ関節もサビ付いてしまいますから、説明書通りの身体の動かし方・正しい身体の使い方を学んでいきます。
使い方を誤らなければ、長く動かすことができる
歳をとっても元気な方がたくさんいるように、年齢は健康不良の理由になるとは限りません。
もちろん、若いうちにできた無茶はきかなくなりますが、使い方を誤らなければ、それだけ長い期間動かすことができるのです。
脊柱管狭窄症は年齢のせい──。
そう言われた経験がある方は、それが本当かどうか、まずは当院にお越しください。
おわりに
薬を飲むことは、未来の自分と契約することです。
それは、「将来的に薬によって体調が悪化するリスクを受け入れる」という契約です。
他の病状において、薬により症状が根本的に改善する薬も存在しますが、それは薬で解消できる原因だったからです。
脊柱管狭窄症は、長年の身体の動かし方も少なからず関係しているため、薬でごまかすだけでは不十分です。
当面は薬でごまかせたとしても、未来永劫薬を飲み続けたいかどうか問われれば、大抵の人がNOと答えるはずです。
薬を飲みたくないという気持ちがあるなら、まずは自分の身体に問いかけることか始めてみることをおすすめします。