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首のこり、肩こりといった慢性的な症状は、セルフケアでごまかせてしまうことも珍しくありません。
そのため、自力で対応しているうちに、気が付いたらどんどん症状が悪化していて、四十肩・五十肩にまで発展してしまう方をよく見かけます。
誰でもケアができるからこそ、我流である程度症状が緩和されるからこそ、身体のこりがなぜ起こるのか、その根本を見ることが少なくなってしまいます。
そこで今回は、首こりや肩こりがどうして引き起こされるのか、解消するのに必要な正しい知識とは何なのか、当院の見解も含めてご紹介します。
どうして首や肩はこってしまうのか
まずは、首や肩がこる原因について、それぞれのパーツごとに掘り下げて考えてみましょう。
「態は人を表す」とよく言われますが、その人の暮らしぶりや仕事内容などが、結果的に体調に反映されるものと考えられます。
首は重要な役割を担っている
首という部位は、人間の思考をつかさどる「頭」を支えています。
成人の頭の重さはおよそ5kgと言われていますから、日常的に負担を抱えているパーツの一つと言えるでしょう。
現代においては、パソコンやスマホが広く使われていることから、自然と酷使されがちな部位の一つです。
パソコンを使う場合はどうしても姿勢が下向きになってしまい、猫背などの不自然な姿勢が長時間続くことで、結果的に首の筋肉や関節に負担がかかってしまいます。
また、心配事やストレスがあると、頭部が緊張することによって首の血行も悪くなります。
スマホはさらに深刻な症状を引き起こすリスクがあり、一点を凝視して画面を見るスマホの姿勢は、うつむくことによって頭と首の境目の「後頭窩」が広がります。
すると、そのゆがみは身体下部にも連動するため、腰椎・骨盤のゆがみが定着することにもつながります。
首への負担は日に日に強まり、首の後ろの筋肉が引っ張られることによって、将来的には神経の損傷にもつながりかねません。
さらには副交感神経の働きにまで影響が及び、女性の場合は妊娠の可能性さえ狭めてしまうのです。
「肩の力を抜いて」生きるのが難しい理由
首のダメージが日々の動作と直結しているのに対し、肩こりは日々の暮らしが症状に直結する傾向にあります。
具体的には、仕事・勉強などで長時間同じ姿勢が続くことにより、肩甲骨に関する筋肉がこわばってしまい、肩のこりにつながります。
肩は首よりも広範囲にわたるため、将来的には背中や首にもこりが広がります。
もちろん、首とも連動しているため、首から始まるこりにも注意が必要です。
また、肩はストレスの影響を強く受ける部位の一つです。
身体や頭脳、あるいはその両方を使い続けることで、次第にストレスが蓄積する部位なのです。
一例として、看護師さんを考えてみましょう。
看護師さんのように、高いホスピタリティと判断力を問われる職業などは、日々の職務で何かしらのストレスにさらされ続けます。
すると、緊張とリラックスのバランス(自律神経)が乱れてしまい、知らず知らずのうちに首から背中・肩甲骨周辺の筋肉が硬くなり、肩こりを招くことにつながります。
このストレスをうまく消化できない場合、生活リズムが次第に不規則になり、イライラがつのり眠れなくなります。
それが続くことで、慢性的な肩こりに悩まされるようになるのです。
肩がストレスを背負ってくれているからこそ、人は何とか日々の暮らしを続けていけるとも言えます。
肩の力を抜いて生きることは、多くの現代人にとって、難しい注文なのかもしれません。
首も肩も、それだけを見て対策してもしょうがない
日々の習慣やストレスが蓄積して起こる首こり・肩こりですが、その部位だけにアプローチするだけでは、なかなか症状の改善にはつながりません。
重要なのは、身体全体を見通したアプローチであり、普段の暮らし方も含めた改善策を講じる必要があります。
首から始まる身体全体の不調
首の不調を放っておくと、やがては肩や腰にも影響を及ぼします。
それを踏まえて、早めの対策が必要です。
よく、セルフケアの方法の一つとして、四つん這いの状態で身体を動かす運動法が紹介されています。
つまるところ、そのような運動を取り入れるのは、首と腰を同時にほぐし、骨盤のうっ血を防ぐ・リンパの流れをよくするといった理由があります。
後ろを向きながら身体をほぐし、全身のゆがみを整える運動もあります。
セルフケアを試みるなら、首だけではなく全身をゆるめる運動を取り入れたいところです。
ちなみに、現段階で首がどのくらいこっているのか、自分で判断する方法があります。
日本整形外科学会・日本リハビリテーション医学会によると、首の横の回転角度が左右それぞれ【60度】かどうかが、こりの一つの目安となっています。
チェックする場合は、以下の要領で確認します。
①壁に背中をつけて立ち、肩が左右に動かないようにする ②片手を正面にまっすぐ伸ばす ③伸ばした片手を60度の場所で固定する |
肩こりは正しい姿勢を意識して解消
肩こりは、ストレスなど内面からの問題も関係していることから、部分的なマッサージだけでは改善に結びつかない場合も多いものです。
しかし、普段の姿勢を整えることで身体的なクセを改善することは、ある程度可能です。
まず、肩甲骨と肩甲骨の間を広く開けます。
胸は張りますが、骨同士は無理に寄せる必要はありません。
次に、鎖骨の向きを整えます。
鎖骨を真横に、一直線に開く感覚で整えていきます。
最後に、肩甲骨の下角を下げることを意識します。
ここまで進めると、肩甲骨につながる筋肉・背面の筋肉がリラックスしていきますから、姿勢が楽だなと感じたところで止めます。
こういった姿勢を意識するだけで、日常生活が楽になっていきます。
同じ姿勢を長時間続けた場合は、肩を回す簡単な体操を行うだけでも、体感的にこりがほぐれることもあります。
こまめに肩を動かすことを意識してみてください。
当院では、肩こりが起こる理由を細かく分類
首・肩のこりを解消するには、身体の使い方から根本的に変えていかなければなりません。
首は環境に左右されることが多いものの、肩こりは一筋縄ではいかない問題です。
その理由を、以下にまとめてみました。
身体の外側に影響される場合
まずは、身体の外側にあるものから、肩が影響を受けてしまう場合についてです。
鞄を持つ手やかける肩、枕の高さ・固さや普段の姿勢など、実に多くの環境要因が考えられます。
肩と関わりがある関節・筋肉へのダメージによるものや、長時間同じ刺激を受けることによって起こるものなどがあります。
こういった事情による症状の発生は、長期になるほど症状をこじらせる傾向にあります。
同じ刺激を継続して受けると、他の関節や筋肉のバランスが崩れ、組織の弾力が次第に失われていきます。
すると、身体の中にある自然治癒力・内包力といったものが、刺激によって奪われてしまうのです。
身体の内側に問題がある場合
肩こりがやっかいなのは、これ以外に肉体的・精神的内面の問題も抱えてしまう点です。
骨盤のバランス、腕の使い方、肋骨の位置に問題がある、内臓や眼精疲労、悩みや心労によって頭の動きに支障をきたした場合など、実に多くの理由が考えられます。
特に、ストレスは目に見えないもので、自分が意識する・しないにかかわらず、身体に多くの影響を及ぼしています。
しかも、現代医学では明確に原因を特定できないケースも珍しくなく、その肩こりが身体からきているのか、精神からきているのかを見極めるには、入念なカウンセリングが必要です。
セルフケアを入念に行っていても、職場環境や家庭に問題があれば、その部分を解決しなければなりません。
もちろん整体的アプローチも有効でしょうが、自分にとっての根本的な問題を押さえることが、肩こりの解消には特に有効なのです。
当院で施術する場合に心がけていること
最後に、つらい首・肩のこりを解消するために、当院をお選びいただく場合、どのようなアプローチで取り組ませていただくかについてご紹介します。
肩だけのアプローチというのは基本的に行わないため、まずはお客様について知ることから始めていきます。
あなたの身体の「歴史」について知る
当院で施術に入る前は、最初にいくつか確認することがあります。
それは、主にお客様の身体の「歴史」を紐解く作業です。
骨折や捻挫など、過去にどのような怪我をしたか。
過去から現在まで続けているスポーツ・習い事・仕事は何か。
日常生活においてどのような姿勢をとっているか。
骨盤の状態や歩き方はどうか。
このようなことを、地道に一つひとつ確認していきます。
身体全体のバランスを考える
ヒアリングを終えた後は、身体の動きがなめらかになるよう施術を試みます。
動きが固い場合、何となく歪んでいるように見えることから、それを順次改善していきます。
肩こりは、筋肉の緊張により生じることから、まずは緊張を解除するための動作を回復し、身体に染み付いた悪いクセを修正していきます。
また、筋肉のこりだけでなく、筋肉と密接に関係している関節の働きも整えていきます。
全ての根本は「骨盤」にあり
肩の施術を開始する前に、当院では最初に身体の土台となる「骨盤」を調整します。
土台がなめらかに動かなければ、結局は肩こりが繰り返してしまうため、その点を重要視します。
これは、他の施術においても同様で、身体全体を見通してアプローチができるのは、整体ならではのメリットです。
調整の過程で、自分が思っても見なかった部分にダメージがあることも分かりますから、首こり・肩こり以外にも何となく不調を感じた場合は、一度施術を受けると回復が早いはずです。
おわりに
以上、首のこり・肩こりを解消するための基本的な知識と、当院での施術についてお伝えしました。
当院では、一部セルフケアについてお教えするケースはあるものの、原則として独学でのマッサージやストレッチはおすすめしておりません。
原因を特定した上でのストレッチ・マッサージでない場合、かえって症状を悪化させてしまうリスクがあるからです。
特に首や肩は、自分である程度症状を改善できると感じる部位で、マッサージを受けるにしても比較的手軽に行えます。
そのため、根本的な原因にまで考えが及ばないケースも、珍しいことではないのです。
もし、首がつらい・肩こりがひどいという症状に悩まされている方は、なぜそうなるのかを専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。
きっと、治りが早いことに驚くはずですよ。